Step1.古物商許可証を取ろう

古物商奮闘記・9

熊のイメチェン

今月の関東は、もうほとんど猛暑日なのだそうだ。
外を歩くだけで命の危険があるとの事。なにそれ!?

これはいつからだったろうか?
気温が体温よりも熱い日は、天気予報じゃお日様マークの背景が真っ赤に表現されるようになったよね。
更に、日本地図上の気温分布図では、猛暑の地域は紫色に塗りたくられている。
紫。その色のチョイスは発想に無かった。
エグい。紫って!
日常に溶け込む系のホラーだろ。

日本は一体どうなっているのだろうか?
確か昔はこんなんじゃなかったよな。
あまりの暑さに、しなければならない日常のアレコレをする元気が湧きません。
それに加えて食欲不振。下腹部を中心とした倦怠感。
クッ!・・・アンダー(下痢)が出始めた。まさか熱ダレ(夏バテ)か!?

今流行の夏のバテを、イニシャルDの迫真バトル風に表現してみる。
シーズン1の中里戦辺りをもう一度観たくなりました。

ところで。そろそろ皆さんはこんな事を考えているかもしれませんね。
『コイツ、イニDの話ばっかしてて野球の話を全然しないな』

とうとう気づきましたか。
いや、そのね。野球ネタでなかなか良い例えが思い付かないんですよ。
大谷の話なんてお腹いっぱい。それこそみんな食傷気味でしょ?

でもね、多分その内すると思います。
侍ジャイアンツとか巨人の星辺りを思い出して。

一番肝心な事は、私は野球の話があまり好きではないんだよねという問題発言。

今さら!?
ならば何故、内野ゴローなのか?何故トップページはパッと見、野球一色なのか?
その謎は、いつの日か明らかになるのかならないのか?

このモヤッとした疑問符は伏線としてここに置いて逃げます。

さて、どうでも良い話はこれくらいにしましょう。
本題に逃げます。

先週の話。
あの日、喜々として木彫りの熊を購入したは良いが。
ほんの数日インターバルを挟むと、上で解説した体力の衰退にてなかなか動き出せずにいた。

ウソです。
正しくは、この熊に対してやるべき事が色々あるのに気付いて、ちょっと逸る気持ちを落ち着かせていました。
そう。一言で言うとサボりです。

仕入れから一週間が経った今日。
娘がおもちゃにしないよう、押し入れにしまってあった例の熊を取り出す。
そして、出品するにあたって、まず何から始めれば良いのかを考えた。

手に入れた木彫りの熊。それは期待した通りの、典型的なスタイルをした立派な彫刻であるが。
耳などの鋭角部に刻まれた傷。溝に付着する細かい埃や汚れ。
アンティーク故の疲弊と垢。映えの悪さという経年致し方ないマイナスポイントがある。
高画素のカメラを前にすれば、如何せん、それはどうしても露わに写し出されてしまうのだ。
まるで輝いていないと言われてしまえばぐうの音も出ない。

映えてない=買いたいとは思わない。
当然こうなる。この等式はもはや説明の必要もあるまい。

私は、この熊に少し手入れをしてやる事にした。
このままで売りに出すよりも、見栄えを少しでも良くする事でいくらか強気な値付けが出来るかもしれない。

とは言ったものの、どうしてやったものか?
木像彫刻とこのように向き合うのは人生で初めての事。

そこで現代っ子の私は、躊躇無くネットでその方法を調べてみる事にした。

『木彫りの熊 手入れ 方法』

このキーワードを打ち込めば、専門サイトが一発で出てくる。
便利な世の中になった物だ。
どんな物事にもその専門家がおり、そのノウハウをこの広大なサイバー空間に惜しげもなく残してくれている。

その専門家が言うには、『下手な手入れはするな』
するとしても、メリンス等で軽く拭く程度にしておけ。との事。
メリンスって何だ?
・・・。いきなり出端を挫かれる。

理由はこうだ。
水拭きをするとシミになる。ビンテージとしての価値が損なわれる恐れあり。

う~む・・・そんな馬鹿な。
この面構えを見てみろ。そんな軟弱者には見えないけどなぁ。

実にワイルドな面構え

漆か何かは分からないが、全体に塗りが施されているのだから、そんな吸水性に怯える事もないのでは?

素直に諦めるのはまだ早い。
ともかく。溝の汚れだけでも払拭しない事には、最悪、売れる物も売れなくなる。
入札無し。そんな結末も、まさかとは思うがあり得なくもない。

そこで私は、検索条件をもう少し広く構えてみた。
『木製品 お手入れ 掃除』

するとどうだろう。木彫りの熊に限定した時とは別の回答が得られた。

『乾拭きでも落ちない汚れは、水を含ませた雑巾をきつく絞り、拭き落としたあと充分に陰干しをする。(水分を残さない様に注意すること)
そして、良く乾燥させた後、蜜蝋またはカルナバワックスを塗り、乾いたウェスで磨き上げる』

ほらな!ちゃんと方法はあるんだよ。
多少の水拭きぐらいはやっちゃっても問題ないだろう?
そういう面構えしてるもの。野生たるものこれぐらいの事には耐えてくれなければ。

私は早速、蜜蝋・カルナバワックスなる物の素性を調べる事にした。
ふむ・・・なるほど。これは多分あそこに売っているな。
そうアタリをつけて近所のホームセンターへ出向く。

果たして、予想したとおり木工コーナーでそれを発見した。
カルナバワックスというのはよく分からなかったので蜜蝋の方を選ぶことにした。

未晒し蜜蝋ワックス

あとは、多少の傷をごまかすのにこげ茶のペイントを薄く塗ってみようと考え、一緒に購入。

トップガード 油性塗料 こげちゃ色 0.1L

木彫りの熊はどのように着色されているのか知らないが、油性ペイントでも、丁寧に薄塗りすればうまく誤魔化せるだろう。そう算段を立てた。
先ほどネットの解説に出たメリンスについてはよく分からない。
だが、様は丈夫で柔らかい布ならば何の問題もないのであろう。
帰り際に、100円ショップの車用品コーナーで洗車用のマイクロファイバークロスを買った。

これならば、繊維片が擦り切れて木肌に纏わり付く心配もないだろう。

このメンテナンスが上手くいけば、今後同様の木像彫刻を売る時に今日の経験を応用できる。
もしかしたら、彫刻に限らず木工のアンティーク全般を扱えるようになるかもしれない。

・・・まぁ失敗しても、熊の仕入れ値は1100円だしな。
試してみる価値はある。失敗してもそれはそれで勉強だ。

手順を計画し、実際に試してみた。

忠告通りクロスを固く絞り。最初は恐る恐る・・・
次第に大胆に!
どうですか?
軽く水拭きしただけでもこのツヤ!

熊は思った通り、水拭きくらいでは何一つとして動じなかった。
しかも水気など何のその。一滴も染み込む様子はない。速乾!
なので…

拭き掃除→傷隠し塗装。
矢継ぎ早に、何の危なげもなく一気に仕上げました。 

以前、気まぐれでプラモ作りした時の道具とテクニックがまた生かされる日が来るとは・・・。
何でも経験しておくってとても大切だと思った。

そして一日陰干し。
翌日、水拭きと同じ要領でワックス塗り。

どうだ?何とか上手くいったか?

BEFORE😕

AFTER😍✨

行程で都合2日弱掛かったけど、ご覧の通り。すっかりイケメン熊に変身いたしました。
女子がよく言う『清潔感のある』というフンワリとしたアレな感じをオーラとして纏っているではないか!

多分、丸の内OL100人に聞いた『泣きたい夜にハグしてほしい熊』第3位くらいにはランキングされたんじゃないかと思います。

しかし、私が狙うのは丸の内ではない。
舞台はeBay。世界です。
ニューヨーク辺り狙えば、場合次第で1位もあり得る。
きっとむしろ向こうからハグして来る勢いです。
もうハグどころではない。ベアハッグです。
熊。モテ期到来。スター街道。

↑ 噂を聞きつけたビンス・マクマホンから
WWEにスカウトされるかもしれません。
サクセスストーリー。熊。

日本人はやれ詫び寂びがどうのとか、汚れも時代の味わいだぞとか。
とかくああだこうだ言いますが。
世界の物の見方は、斯様にまたひと味違うんじゃないかと思うんだよと大胆予想。
ワビサビ云々よりも要は輝いているかいないか。そういう価値観で彼ら海外勢の心は躍る。
ごめん。また根拠の無いことをテキトー言った。

でも、どうせならば艶やかに映えていたほうが良いだろう?
高値で売れるか?安値で買い叩かれるか?
暗中模索。あれよこれよと試行錯誤です。

追伸:
あ、言い忘れてました。
8月2日。警察署から連絡が有り。
めでたく営業許可が下りました。
世界を相手取って熊を闇取引しようとドキドキしてたのですが・・・。
何のことはない。もう堂々と商売して良いそうです。
40日待たされると聞いていたんだけど、思ったよりも早かったね。
古物商デビューです!

尚、許可証の交付はもう数日掛かるそうです。
それが40日なのかな?
・・・と思っていたら、8月4日。一昨日。
許可証も出来たよと連絡が来ました。早くね?
月曜日に受け取りに行ってきます。

次回
木彫りの熊の宣材写真に挑む。
+試しにで売口上を考えてみる。