スピンオフ

カラーコーンを売ってみよう

千本ノック 12球目 もしカラーコーン(パイロン)を売るならば

必要なくなったのでお譲りいたします
出品者:19歳 女性(美術大生)
出品額:500円~

口上スタイル:本当は手放したくない

コレ使えばいいじゃん!私って天才!
そんなテンションで買ったモノが総スカン。そんな経験って無いですか?
今回はそんな出品です。しょうがない。売りに出します。

【商品説明】

未使用。未加工。新品です。カラーコーン1個。
結局、使わなくなったので誰か欲しい方がいましたらお譲りいたします。

私はよく、後先考えずに思いつきで行動すると叱られます。
今回はそんな高額な商品じゃなかったので、
経費として計算してくれると思ったんですがダメでした。

私は某美術大に通う2回生です。

美大といえば…
中世あたりの宗教画とかその辺の歴史の勉強とか、
油絵とかモデル役を輪番して肖像画のデッサンばかりしている。
そんなイメージの方が多いと思います。

けど、私が所属する学部は、
主に先端デザインについて学ぶ学部で。

もちろん、前述のカリキュラムも必修なんですが、
主に、コンピュターグラフィックを用いて、
自動車や飛行機などの先進的なデザインについてを研究します。

流体力学とか衝撃に於ける物理学も必要になるため、
警察の鑑識とか変わった道に進んだ先輩もいたりなんかします。

そんな私達。詳しくは私が所属するゼミ
《ロボットデザインラボ:通称 ロボ研》ですが、
今度、近くの工科大と共同チームを組んで
産業機械の先進デザインを競うコンペディションに参加することになったんです。

さて。

私がこのカラーコーンをどうして手にしたのか?
そして、何故こうして、すぐにまた手放そうとしているのか?

私は、そういう事情の説明がちょっと苦手なので…
回想形式でご説明いたします。

==《回想》=====================

ある日、私は最強のデザインを思いついて居ても立っても居られませんでした。
そして、大学の近くにあるホームセンターでカラーコーンを即買いしてラボに戻りました。

私『部長!見てください!
  腕にドリル付けたら超カッコ良くないですか!?』

すると、部長は目を細めて苦々しく言いました。

部長『腕にドリルって…。お前、ドリルはないだろうドリルは』

私『何でですか!山岳仕様として穴掘りできてイイじゃないですか!』

部長『いくら予選は模型提出とはいえ、あれ、ドリルの周りのフィン…
  ん?あれ?フィンでいい?フィンっていうのか?まあいい、あの渦巻きの。
  アレ結構、模型でも設計難しいんじゃないか?

私『アルキメデスの数式で出せば簡単じゃないですか』

部長『やだよ。付けるのどうすんだ?面倒くせえよ。
  ソレに、あの裾の餃子のハネみたいな四角いペラはどうすんだよ?
  あれ、ペラってほど柔らかくないぞ?きっと』

私『金切り鋏で切ればチョチョイですよ』

設計担当の先輩もいやいやお前と即反対してきました。

先輩『ドリルってお前。アタッチメントにしたって使い勝手悪いだろ。
   それにどうせなら陽電子砲とか装着出来たほうがカッコイイだろ!
   ドリルって。お前センスが昭和かよ!平成飛んで令和だよ?今』

私『プッ。陽電子砲とか(笑)エヴァの観すぎですよ。ヤシマ作戦ですか?
  戦争でもするんですか?これ産業機械のコンペですよ?ププ(笑)』

先輩『うるせえ!ミルスペック(軍用規格)は男のロマンなんだよ』

私『私は女です~!
 絶対ドリルが良いですって。カッコいいでしょうが!
 水木一郎の歌が聞こえてきそうじゃないですか!』

先輩『それもうマジンガーじゃん!お前だって戦うロボ設定じゃん!』

私『クッ…。ねえ教授!先輩こんなコト言ってますよ?
 何とかガツンと言ってやってくださいよ』

すると教授は、ニッコリと優しくほほえみ静かにこう言いました。

教授『ドリルはないわ~。…いや。うんドリルはないわ~』

ガビ~ン。
総スカンで私の案はこの様に却下されました。

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以上。回想を終わります。

そんな理由での今回の出品です。
皆さん。ドリルは令和ではありえないですか?
絶対、カッコいいと思うんですが。

ドリルとして使ってくれる方。歓迎します。
お友達になりましょう。

個人的には、こういう変なセンスの女の子は大好きです。